パラボリックの基本

 パラボリック(「放物線状の」という意味)はトレンド追随系の売買手法で、RSIやDMIを考案したW・ワイルダーによるものです。SAR(ストップ・アンド・リバーサル)と価格が交わった時点が売買のシグナルとなるため判り易いことと、売買シグナルが出た時点で売りから買い、買いから売りへとポジションを変更する途転システムであること、中・長期の大相場に有効(保合いに不向き)なのが特徴です。

パラボリック

計算方法

当日のSAR = ( EP − 前日のSAR) × AF + 前日のSAR

 EPは極限値で、上昇トレンド時であればその上昇トレンド発生期間の最高値、下降トレンド時であれば下降トレンド発生期間の最安値となります。AFは加速因数で、初期値は0.02、EPが更新されるごとに0.02ずつ増加し、最大値は0.2となります。

使用方法

 上昇トレンド時であればSARは価格よりも低いところに位置し、SARが示す水準以下に価格が下がれば下降トレンド転換で途転売り、逆に下降トレンド時であればSARは価格よりも高いところに位置し、SARが示す水準以上に価格が上がれば上昇トレンド転換で途転買い。従って、常に買いか売りのポジションを持つことになります。
 SARはAF(加速因数)という時間的要素を取り入れることで、上昇(下降)トレンド時であれば売買シグナル発生時点から時間が経過していくごとに上昇(下降)します。更にAFはEP更新、つまり上昇(下降)トレンドであれば高値(安値)更新時に増加するため、高値(安値)更新が相次ぐと、トレンド転換の水準となるSARの上昇(下降)幅が大きくなります。このため大相場における天井、底でのトレンド転換に伴う早期のポジション変更(途転)が可能となります。しかしながらボックス圏などの保合い相場などでは、買いで入っても上昇しないまま途転売りのサインが出たりすることもあるので、短期的な売買には不向きであり、状況に応じてオシレーター系の指標も併せて活用する必要があります。

具体的計算例

 東京白金先限の日足を例にとりSARの計算からパラボリックでの売買指示がどのように出るかを説明します。AF初期値は0.02、EP更新時のAF増加幅は0.02、AF最大値は0.2に設定します。なおパラボリックでは高値、安値しか用いないので始値、終値等はここでは省略しています。

日 付 高 値 安 値 ポジション 当日SAR EP 翌日SAR AF 期間最高値 期間最安値
3/19 2041 2022              
3/20 2037 2012              
3/22 2022 1999              
3/25 2065 2043              
3/26 2081 2023 買い 1999.0 2081 2000.6 0.02 2081 1999
3/27 2067 2029 買い 2000.6 2081 2002.2 0.02 2081 1999
3/28 2074 2052 買い 2002.2 2081 2003.8 0.02 2081 1999
3/29 2084 2058 買い 2003.8 2084 2007.0 0.04 2084 1999
4/1 2114 2067 買い 2007.0 2114 2013.4 0.06 2114 1999
4/2 2190 2096 買い 2013.4 2190 2027.6 0.08 2190 1999
4/3 2241 2141 買い 2027.6 2241 2048.9 0.1 2241 1999
4/4 2157 2080 買い 2048.9 2241 2068.1 0.1 2241 1999
4/5 2128 2084 買い 2068.1 2241 2085.4 0.1 2241 1999
4/8 2122 2094 買い 2085.4 2241 2101.0 0.1 2241 1999
4/9 2118 2075 売り 2241.0 2075 2237.7 0.02 2241 2075
4/10 2073 2050 売り 2237.7 2075 2234.4 0.02 2241 2075
4/11 2123 2087 売り 2234.4 2075 2231.2 0.02 2241 2075

@まず3月26日で19日から25日まで5日間(通常5日〜10日)の相場状況を見て上昇トレンドだと判断し、買いからは入ることとします(始めは裁量により判断する)。SARは初日に限り、買い(売り)では5日間の最安値(最高値)を用い、以後SARは「当日のSAR = ( EP − 前日のSAR) × AF + 前日のSAR」の計算式に基づき計算されます。EPは初日に限り、買い(売り)ではSARと同期間の最高値(最安値)を用い、以後EPは買い(売り)では買い(売り)が続いている期間の最高値(最安値)となります。5日間の最高値は2081円、最安値は1999円であり、3月26日に買いから入ることにしているので、26日のSARは最安値1999円、EPは最高値2081円となります。
A当日(26日)のSARは1999円、EPは2081円により翌日(27日)のSARが計算されます。AFは初期値0.02ですので、翌日のSARは(2081−1999)×0.02+1999=2000.6円となり、翌日2000.6円以下にならなければ買いは継続となります。
B同様のことを繰り返し、数日が経過しました。買いを入れてからのEPは26日の高値である2081円でしたが、29日に高値を更新し2084円を付けたためEPは2084円となります。高値更新でEPが更新されたのでAFは初期値0.02から増加幅0.02加えられ0.04となります。AFの増加によりSARの増加幅も相対的に大きくなってきます。
C同様のことを繰り返し、数日が経過しました。高値更新が続いたため4月3日にAFは0.1まで拡大しています。4月8日にSARは2085.4円となりましたが、安値は2094円とSARを割り込まずに引けています。翌日のSARは2101.0円と計算されました。
D翌日の4月9日に売りに転換(途転売り)となります。4月8日に計算された4月9日のSARは2101.0円でしたが、それを割り込む安値2075円を付けたからです。売りに転換したことにより、@とは逆にSARは4月9日を含む過去5日間の最高値2241円、EPは同期間の最安値2075円となり、AFは初期値の0.02に戻ります。翌日のSARは(2075−2241)×0.02+2241=2237.7円となり、翌日2237.7円以上にならなければ売り継続となります。

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